その428 雌猫の行動範囲
結局、昨日の区民プールでも、平泳ぎ25メートル完泳とはならなかった。
プール近くのスーパーで、ミュスカデ(白ワイン)は買った。
ただし、もちろんお祝いとして飲むのではなく、(完泳ならずだったから)
主人の晩酌用だ。
おつまみは、メカジキの酒蒸し。
オリーブオイルを使い、ワイン用に洋風にアレンジした。
私はプールで疲れた身体を、ノンアルコールビールで癒す。
メカジキの酒蒸しをつつきながら、主人の話に耳を傾ける。
この間の主人のひとり旅、佐久間湖、佐久間ダム周辺に、
つよく惹かれるものを感じた主人は、
そのあたりの話になると、目をキラキラさせて夢中だ。
私は、と言えば、プールの練習の話になると飽きない。
だが、話は噛みあわない。
私が「老夫婦になると価値観が違ってくるね」と言うと、
主人は「価値観が違うのではない、趣味が違うだけだ」と反論。
確かにそうだ。
価値観が違っては、夫婦生活はやっていけない。
また、主人は塾の経営をしているため、勢い、仕事の話が多くなる。
反して、自宅とスーパーと母の家と、プールを往ったり来たりだけの私は、話題に乏しい。
テレビもよほどのことが無い限り、見ない。
新聞も読まず、ニュースはスマホでキャッチするのみ。
本も、健康や運動に関する本以外は、ほとんど読まない。
幸い、恩師に貴重な歌集を何冊もいただいたので、
秋の夜長、たまには歌集を読んで勉強しようと思う。
さすがに、スーパー、母の家、プールのみの、
雌猫のような行動半径の狭さに、ややうんざりしている。
でも、時間があれば水泳の技術の習得にあてたいとも思ってしまう。
私が雌猫でなくなるのはいつだろう?